戦慄の「ダークツーリズム」大量虐殺や自然災害のあった場所が観光地化する現象とは
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パリを拠点に活動しているAmbroise Tezenasさんは世界中の大量虐殺や自然災害のあった悲劇の場所を訪問しました。
現地では記念碑やガイドツアーが組まれて観光地となっており、Ambroiseさんはそれらに参加しました。
悲劇の現場が観光地となる現象は世界中にあり、「悲しみの観光地」「ダークツーリズム」と呼ばれています。
Ambroiseさんは現地のガイドにお金を支払い、ツアーの中で撮影した写真だけで作品を構成しました。
過去に起きた悲劇を受け入れる社会との現実的な接点を写し出し、見る人の心に何かを訴えかけます。
中国の四川地震遺跡ツアーでは、中国の最近の歴史の中で最悪の地震被害の場所を巡ります。
この倒壊した中学校では53人が死亡、小学校では250人が死亡しました。
レバノンのイスラム系組織・ヒズボラの「抵抗運動博物館」。
イスラエルのレバノン侵攻に抵抗した殉教者たちを慰霊している施設ですが、公園は銃やミサイルで飾られ、観光客は対空砲を操作したり、転覆した装甲車によじ登ったりすることができます。
ここにプールやスパを作ったり、キャンプサイトやホテルを作る計画もあるようです。
ルワンダのニャマタ虐殺記念教会はルワンダ虐殺の犠牲者の服が壁と床を埋め尽くします。
1994年に起きたルワンダ虐殺の正確な犠牲者数は未だにハッキリとしませんが、50万人~100万人が100日間という短い期間で虐殺されたことが分かっています。
ホロコーストで100万人が殺されたアウシュビッツ強制収容所は、最もよく知られている悲しみの観光地となっています。
ナチスによって虐殺が行われたフランスの村、オラドゥール=シュル=グラヌは、ほとんどの村人が殺され、生き残ったのは数人でした。
村は放棄されていましたが、現在は観光客で賑わっています。
壊滅的な原発事故のあったチェルノブイリは観光ツアーが組まれ、観光地化しています。
多くの観光客が訪れるコパチ村の幼稚園では、教材や遊具が今も放置されています。
Ambroise TezenasさんがFeatureshoot.comに語った内容によると、観光地化されることで、実際に起こった悲劇の最小化や過度なセンセーショナル化がされており、また悲劇を繰り返してしまうことに繋がるのではないかと危惧しています。
彼は加えて、これらの場所は教育的な価値がありますが、参加したツアーでは十分に学べたとは言えないと言います。彼の写真を見たダークツーリズムの参加者に、悲劇的な出来事と向き合うことを期待しています。
ラトビアのKarKarostas Cietumsはヨーロッパで唯一の観光客に開放されている軍事刑務所です。
ここは1人も生きて脱出することができなかった刑務所で、アルカトラズ刑務所よりも堅い警備でした。
ナチスの遺物が展示されているほか、ツアー参加者はナチスの軍服を着た看守から厳しく管理される体験ができます。
参照:daily mail