鬼滅の刃、ゴールデンカムイでもモチーフに…集落を壊滅させた三毛別羆事件とは

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あなたがクマと聞いて思い浮かべるイメージは何ですか?
クマのプーさん、テディベア、リラックマなど、可愛らしいイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
実はクマは一部の種類を除いて、非常に凶暴な動物で、日本でも凄惨な死亡事故が過去に何度も起きています。
中でも8人が1匹のヒグマによって殺害され、3人が負傷し、小さな集落が壊滅状態となった史上最悪の獣害といわれている三毛別羆事件を紹介したいと思います。

事件のあらまし

最初の犠牲者

ことの始まりは1915年12月9日のことでした。
北海道の苫前村三毛別、現在の苫前町三渓で起きました。
当時の三毛別には15軒の開拓民の家があり、男性は橋桁材の伐採搬出作業に従事していました。
この事件の少し前から、開拓によりクマと人間の生活圏が重なり始めることで、川で洗濯中の女性がクマに襲われ死亡する事件が何度か起きていました。
しかし、厳しい大自然の生活の中で起きたことであるため、それほどクマに対する危機感は高まっていませんでした。

出典:フォートラベル

最初にクマが民家を襲ったのは、12月9日午前11時半頃、太田三郎の家の内縁の妻マユと、養子に迎えるために預かっていた6歳の蓮見幹雄でした。
太田三郎は仕事から帰ってくると、食いちぎられた幹雄の遺体とマユの髪の毛の一部を発見します。
マユと幹雄は、窓を破壊して侵入してきたクマに襲撃され、幹雄を食い殺し、マユを保管用の食料として、山奥に引きずって行ったのです。
翌日に捜索隊が見つけたマユの遺体は足と頭の一部だけになっていました。

葬儀の日に起きた惨劇

出典:食べログ

12月10日に、太田家では幹雄とマユの葬式が行われていました。
親しい親族、9人のみが参加したひっそりとした葬儀でしたが、午後8時半ごろ、再びクマが襲来しました。棺桶が打ち返されて遺体が散らばり、出席者は逃げ惑い、現場は騒然としましたが、一人が銃を持っていたため、恐れたクマは逃げて行きました。
しかし、腹が満たされなかったクマは直後に少し離れた明景家を襲ったのです。
太田家から500mほどの距離にあった明景家には妻ヤヨ、長男の力蔵、次男の勇次郎、長女のヒサノ、三男の金蔵、四男の梅吉の6人と、この事件の通報のために30kmほど離れた苫前村役場に向かっていた斉藤石五郎の妻であり、臨月のタケと、三男の巌、四男の春義の3人がクマの襲撃を恐れて非難していました。
家主である長松要吉はクマ討伐に出かけていたため、先ほどクマによる襲撃を受けた太田家の寄宿人の長松要吉が非難してきた女子供を守る男手として派遣されており、この合計10人、タケの胎児を含めると11人が非難していたつもりの、明景家はクマにとっては格好の餌場でした。
太田家での狩りに失敗したクマは午後8時50分ごろ、明景家の窓を破壊して侵入。
クマはまず明景家の妻、ヤヨとその子どもたちを次々と襲いました。
女子供を守るはずの男手、長松要吉はこの様子を見て思わず逃げ出してしまいます。
すると、クマは要吉に襲い掛かりました。その後、明景家の三男、金蔵を殴り殺し、斉藤巌に瀕死の重傷を負わせ、四男の春義をその場で叩き殺しました。
巌と春義の母親であり、臨月の妊婦であった斉藤タケは子どもたちの阿鼻叫喚の姿に耐えかねて、隠れていた場所から飛び出してしまいます。
クマに見つかり、引きずり出されたタケは、「腹破らんでくれ!」「のど喰って殺して!」と絶叫し、お腹の子の命乞いをしたと言われています。
当然、クマに通じるはずもなく、無残にもタケは上半身から食われ始め、胎児はかきだされてしまいました。
駆けつけた村の男性達が鉄砲を空に向かって放つと、クマは玄関から飛び出しし、裏山へと逃げて行きました。
この時タケの腹から掻き出された胎児と重傷を負った巌は何とか助け出されましたが、2人とも間もなく死亡しました。この日の襲撃により、赤影家の金蔵、斎藤家のタケ、巌、春義、タケの胎児の4人が殺害され、ヤヨ、梅吉、要吉の3人が重傷を負こととなりました。力蔵は雑穀俵の後ろに隠れ、ヒサノは失神し居間で倒れていたが、奇跡的に無傷でした。

鬼滅の刃、ゴールデンカムイでもモチーフとなった伝説の猟師が…

伝説の猟師 山本兵吉 出典:スッポコ谷の楊貴妃

この事件から二日後、熊狩り本部が結成され、クマが過去に襲ったマユの遺体を取り返しに来たことから、殺された遺体を囮として使うことで、クマをおびきだすなど、必死のクマ討伐活動が続きました。
その後も農家や蔵などを荒らし続けていたクマは13日に被弾、14日に伝説のマタギ(猟師)と呼ばれた山本平吉がクマを発見し、一撃でヒグマの心臓近くを撃ち抜き、続く銃弾でヒグマの頭を貫通させ退治しました。
ゴールデンカムイの二瓶鉄造や、鬼滅の刃、炭治郎の父などキャラクターはこの山本平吉や一連の獣害騒動がモチーフになっていると言われています。
山本平吉によって仕留められたのは体長2.7m、体重340kgのエゾヒグマ、通常のエゾヒグマの体長はオスが約1.9 -2.3m、メスが約1.6 – 1.8m。体重はオス約120 – 250kg、メスが約150 -160kgだったことを考えると、いかに巨大なクマであったかが伺い知れます。

まとめ

本来、クマは山奥で暮らし、人間が自ら山に入っていかなければクマと接すること自体ありません。
野生動物は臆病で警戒心が強いため、基本的に人里に降りてくることはないのです。
三毛別羆事件のような深刻な獣害は「穴持たず」と呼ばれる冬に冬眠することのできなかったクマが引き起こすことが知られています。
近年は温暖化の影響もあり、クマ本来のライフサイクルが乱れてしまい、冬は山の中には餌がなくなるので、人里まで下りてくるクマが増えているようです。
彼らは人を恐れないので「新世代クマ」とも呼ばれ、問題となっています。
三毛別羆事件ののクマは、体が大きくなりすぎことにより、適当な穴を見つけることが出来ず、「穴持たず」となり、住民を襲いましたが、山里を切り開き、地球温暖化の深刻化している今の日本では、誰もが人ごととは言えなくなっているかもしれません。








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