男女の命は平等ではなかった…インドのヤバすぎる風習、サティと今も続く名誉殺人
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2021年3月、ネットニュースで話題になったこの事件。
インド北部ウッタル プラデシュ州で自分の娘が交際相手とみられる若い男性といるのを見て、激昂した父親が自分の娘を斬首。
娘の頭部を持って歩いている父親の姿を見た周辺住民が警察に通報、逮捕されたというものです。
17歳の娘を部屋に閉じ込めて鋭利なもので首を切り、遺体を部屋に残したまま、頭部を持って警察署に向かって歩いていたところだっということですが、ネット上ではショッキングな画像が拡散されるなど、世界中に衝撃を与えました。
こうした事件は「名誉殺人」と呼ばれ、結婚の拒否、強姦を含む婚前・婚外の性交渉、親族の望まない男性との結婚・駆け落ちなど自由恋愛をした女性、さらには、これを手伝った女性を「一族の名誉を汚す」ものと見なし、親族がその名誉を守るために私刑として殺害する風習として、インドやパキスタン、バングラデシュで頻繁に起きています。
さらにインドではサティと呼ばれる、世にも恐ろしい風習があることを知っていますか?
インドのヤバすぎる風習、サティ
日本語で「寡婦殉死」を意味するサティ。
本来は「貞節な妻、女性」を意味するヒンドゥー語です。
インド周辺のヒンドゥー教文化に見られる風習で、夫が先に亡くなった時、妻はそれに従って死ぬことが美徳とされた価値観を元に、夫の火葬の火に生きたまま飛び込んで焼身自殺するというものです。
インドやヒンドゥー教の価値観では女性の人権は認めておらず、結婚後は夫に従い、もちろん離婚は許されず、死後も再婚は許されません。
未亡人となった場合は生きていても仕方がない、そのように考えられていたこともあり、1829年に禁止令が出される前は当たり前に行われてきた習慣でした。
インドのラジャ―スターン州にある世界遺産のマハラジャ宮殿要塞には30人以上の女性の小さな手形が残されていますが、これは19世紀半ばに逝去したマハラジャの火葬に際し、一夫多妻制だったため、その愛人やたくさんの妻たちがマハラジャと共に生きたまま焼かれた紛れもない証拠なのです。
このように深く根付いたサティの風習は、禁止令後も無くなることはなく、現在も度々起きています。
どんなに美徳とされていたとしても、自ら進んで火に身を投げたいと考える人間がどこにいるのでしょうか?
近現代になっても、殉死しない女性を夫の親族が無理矢理に火葬台に投げ込んだり、逃げた女性は惨殺されていることからも、これは紛れもない殺人といっていいでしょう。
こうした文化が背景にありインドは今も名誉殺人が絶えないのです。
男女の命が平等ではない国
悲しいことに男女の命が平等ではない国は今も数多く存在しています。
名誉殺人が起こる地域の多くは、例えどのような理由があろうとも婚前、婚外交渉、女性の自由な恋愛は許されていません。
我が子を殺してもその地域においては家族の名誉を守った英雄として扱われるといのですから驚かされます。また、名誉殺人の中には、冒頭で紹介したインドの事件のように、交際しているか、性交渉があったか定かではなくても単に「男性を見た」「男性と親しげに会話をした」というだけで発生することもあるのです。
もちろん、現代において、名誉殺人は法的にはどこの国でも禁止されています。
しかし、インドや中東地域の多くでは国家の法的拘束力が地方にまでは及んでおらず、未だに沢山の女性が犠牲になっているというのが現状です。
特に、インドではカースト制度が根強く残っており、身分違いの恋愛に対して男性側の親族が女性を殺害する事件も多発しています。
家庭内、地域内で起こる名誉殺人は、地域ぐるみで隠蔽されるため、警察に届けられることはほとんどなく、ニュースになっているのは氷山の一角と言われています。
例え誰かが被害を訴えたとしても、政治家や警察なども加害者側と同じ価値観を持っており、もみ消されてしまうことも少なくないのです。
まとめ
中東やインドなど、多くの地域では男女の命は平等とは言えないが現状です。
殺害まではいかなくとも、強い酸性の薬物を顔にかけ、大火傷・失明をさせることで2度と結婚や恋愛、社会生活ができないようにする「アシッドアタック」なども多発しています。
インターネットを通しての告発や、反対運動、女性の権利向上運動が行われてはいますが、宗教的な文化背景も関係しているため、なかなか改善されません。
イギリスのケンブリッジ大学研究チームの2013年の調査によれば、ヨルダンの10代の男女850人以上を対象にアンケートをとったところ、名誉殺人を支持、もしくは強く支持すると答えた人は全体では33.4%にものぼりました。支持する考えを示したのは男子で46.1%、女子でも22.1%に達したというのです。
また、驚くことに、サウジアラビアでは2018年に女性が初めて自動車の免許を取ることを許されました。2016年にはパキスタンで自撮りをSNS上にあげただけで女性が殺害されています。
インドやパキスタン、バングラデシュの人々は日本でも飲食店などで接する機会は多くあります。遠い国で起きている出来事、と考えず、今も続くこの悲劇から目を背けないことが改善への第一歩といえるでしょう。