カリフォルニア州、サンアンドレアスとサンジャシントの近くにある、積み重ねられた岩石のミステリーに対する新しい研究が、ひとつの答えを示しました。
断層にとても近くて、不安定な状態でバランスを保ち続ける岩のために、科学者は何十年も困惑してきました。いくつもの大地震がこの岩を襲ったはずで、その地震によって岩は崩れ落ちていたはずでした。にもかかわらず、この岩石は何千年もの間この状態を保ち続けているのです。
地震の多いカリフォルニアで1万8千年前からこのままの状態
カリフォルニア州は地震が多く、1994年のノースリッジ地震で高速道路が倒壊した姿を覚えている読者も多いのではないでしょうか。
あの大規模な地震の揺れでもこの岩は不思議なバランスを保ち続けていました。はるか昔からの多くの大地震によりこれらの岩石が崩れ落ちていたはずですが、何千年もの期間、このバランスは保たれているのです。
研究によって、ひとつの岩が1万8,000年もの間、その位置を保ち続けていることがわかりました。
1万8,000年前となると氷河期まっただ中、有史以前の巨石文明のしわざ?それとも巨人族のいたずらでしょうか?
観測されている地震で崩れてないとおかしい
ネバダ大学のジム・ブリューネ氏は1990年代から、この問題に取り組んでいます。
通常、このように積み重なった岩石は、地震が頻発する、断層の15km以内で発見されることはありません。地殻プレートにより、地震性の大地の移動が発生するからです。
ブリューネ教授は、サンアンドレアスとサンジャシントを結ぶ線から7-10km以内に多くのバランスを保った岩石を発見しました。
研究チームは、この岩石を崩すためにどれくらいの力が必要なのかを計算しました。そして1812年と1857年に起きた地震の強さが、これらの岩石を崩すのに十分であったことも立証しました。
断層の相互作用により起こる「ステップオーバー」現象
このことから、何千年もの間、岩石が崩れ落ちなかったなんらかの理由があるはずだ、という結論に達しました。
共同研究者であるカルフォルニア大学のリサ・グラント・ラドウィグ氏は「確定的な結論」として、地震による振動は、想定されるものよりも程度が小さくなければならないと語りました。
また、「サンアンドレアスとサンジャシントの断層は、お互いにものすごく接近しています。2kmほどの距離しかないのです。そして、地震が起きても岩石は安定性を保っているのは、断層の破断が、この地域を飛び越えているからなのです。この現象は『ステップオーバー』と呼ばれています」とも語りました。
ふたつの断層が互いに接近しているため、共振のような相互作用を引き起こし、岩の立っているエリアにおける振動を通常よりも少なくしていると推測できるようです。
この研究結果により、カリフォルニア州のハザードマップは書き換えられることになりそうです。
参照:dailymail