600匹の犬が飛び降り自殺したオーバートゥン橋。何が犬を死に導くのか
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スコットランド郊外にあるオーバートゥン橋はこれまでに600匹の犬が飛び降り、少なくとも50匹が死亡しています。
動物の心理学者は明白な理由もなく犬が橋から飛び降りる現象に困惑しています。
この高さ15メートルの橋では一体なにが起きているのでしょうか!?
飛び降りた犬達の状況には以下のような共通点がありました。
・鼻の長いタイプの猟犬に近い種
・よく晴れた日中
・橋の欄干の同じ側から飛び降りる
これらの共通点は何を示しているのでしょうか。
理由として囁かれているものを見てみましょう。
19世紀の古城に住む『ホワイト・レディ』の亡霊のせい
地元の人々は城で目撃されている『ホワイト・レディ』という亡霊のせいだと考えています。
橋のすぐ近くにはオーバートゥンハウスという19世紀に建てられたゴシック様式の屋敷があります。
この屋敷はジョン・ホワイト男爵が住んだ屋敷で、男爵夫人の霊が現在も屋敷で目撃されています。
男爵夫人がどういう人物だったのかは資料がありませんが、特に悲劇的なことは起きていないようです。
19世紀の貴人ですから、猟をたしなむために猟犬を飼っていたことは十分に考えられます。
猟犬に近い犬種が犠牲になる理由としても一定の信憑性がありそうです。
ケビン・モイの事件のせい
1994年にこの橋の上でケビン・モイという人物が、自分の息子を橋の上から投げ落として殺害するという痛ましい事件が起きています。
ケビン・モイは息子の額に現れたアザが悪魔の証だと考え、息子を殺さなければ伝染病をまき散らすという妄想に駆られていたようです。
彼は息子を投げ捨てたあと、自分も後を追って自殺しようとしましたが、妻に止められて思いとどまりました。
この殺害された子供の亡霊が犬を呼んでいるのではないかと囁かれています。
犬の飛び込みは1950年代から起きているため、時代が合いません。
むしろケビン・モイがここに住む”何か”によって突き動かされていたのではないでしょうか。
橋の下の森に住むミンクのせい
より科学的な理由としては、スコットランドに多く住むミンクの出すにおいに反応して橋から飛び出すのだという検証結果があります。
ミンクはお尻から強烈なにおいを出すことが知られており、猟犬の習性を持つ犬はミンクのにおいで興奮して野生化することがあるという検証結果があります。
また、犬の落下事故が発生し始めた1950年台はスコットランドでミンクが異常繁殖を始めた年でもあります。
晴れた日はにおいが遠くまで届きやすく、ミンク説の裏付けとなっています。
犬の好奇心のせい
動物行動学の権威デビッド・サンズ博士はアニマルプラネットの依頼でこの橋を調査しました。
博士は、この橋は独特の違和感を持っていると言います。
「私は初めてこの場所にきましたが、何か違和感のようなものを感じます。
ここに来ると、人は下を見たい衝動に駆られるのがごく自然だと思います。それは犬でも同じことではないでしょうか。
犬を殺したのはそうした”好奇心”である可能性が高いと私は思います」
博士の考えでは、犬は好奇心に駆られて欄干に飛び乗ろうとして、足を滑らすのではないかということです。
欄干が石積みのため
この橋の欄干は石を積み上げたものなっており、犬の視点からでは橋の向こう側が見えません。
また、橋の周囲は高い木が生えており、橋の下の地面が遠いとは一見して分かりません。
このため、犬の視点からでは地上15メートルの橋の上とは分からず、平地に思えるということが考えられます。
このような要因に「ミンクのにおい」や「好奇心」といった要因が合わさって犬が飛び出す原因になるのではないかと考えられます。
現在、オーバートゥン橋では対策として「決してリードを離さないように」という警告の看板が立てられています。
参照:mirror