もうすぐやってくる夏には海に行く方も多いでしょうが、海には危険な生き物がいっぱい。
海の危険な生き物を知っておけば悲しい事故も防げます。
生き物に詳しくなって安全に海を楽しみましょう。
そんなわけで日本近海に生息する毒を持った危険な生き物をまとめました。
ウミヘビ
生息地:沖縄
沖縄の海でダツよりも多くの被害が出ているのがウミヘビだ。
エラブウミヘビは強力な神経毒を持ち、その毒性はハブの70-80倍の強さ。
おとなしい性格のため人間を襲うことは少なく、地元の人は素手で簡単に捕まえている。うっかり踏んだり、不用意に捕まえようとして噛まれることがある。
噛まれても痛みはほとんど感じず、運動障害や呼吸障害を引き起こす。
噛まれたら患部より心臓に近い場所を縛って毒が回るのを防いでから毒を吸い出す。
タンニン酸や濃いカテキンの含まれる紅茶や日本茶に毒の中和作用があると言われている。
アンボイナガイ
太平洋のサンゴ礁に広く分布しているイモガイの中で特に危険なのがアンボイナガイ。
沖縄県や鹿児島県が一番多いが、千葉県や和歌山、高知県にも少数ながら生息している。
こいつは貝のくせに肉食性で、魚を仕留めて捕食する凶悪なハンターだ。
沖縄県ではハブガイ・ハマナカ―とも呼ばれている。ハブのような毒を持つのと、刺されると浜の真ん中あたりで死んでしまうからハマナカ―と呼ぶのだそうだ。
コノトキシンという神経毒を持っていて、細長いモリのような舌で獲物を刺してから毒を注入する。
この毒はコブラの37倍の毒性があり、血清もない。
刺されてすぐは痛みが少ないが、徐々に神経が麻痺しはじめ、20分ほどで歩行困難、呼吸困難に陥る。
重篤な場合は数時間で命を落とす危険がある。
中枢神経系や心筋への障害はないため、人工呼吸器で呼吸を補助することで12時間ほどで回復する。
猛毒の貝ではあるが、食べられる。また、イモガイ専門でコレクションしている人ほど貝殻が綺麗。サンゴ礁で綺麗な貝を見つけても不用意に拾わないように。
オニヒトデ
生息地:沖縄
インド洋―太平洋海域のサンゴ礁に生息しているオニヒトデ。貴重なサンゴ礁を食べてしまうため駆除が進められてる嫌われ者だ。
体表に無数に生えているトゲにはオニヒトデ粗毒という独特の毒を持ち、これに刺される激しい痛みを感じる。
潜水中に刺されるとパニックになったり、アナフィラキシーショックで死に至ることがある。
オニヒトデの毒は熱で崩壊するため、刺された場合は、傷口からトゲを取り除いたらポイズンリムーバーなどで毒素を絞り出した後、患部を45度の熱めのお湯で60分前後つけておけば毒が無毒化する。
お湯につけながら病院に急ごう。
サンゴ保全のため長年駆除を続けられていたが、潰して殺す駆除すると卵をばらまくためかえって大発生させてしまったりしている。
近年では注射器でお酢を注入することで駆除しているらしい。
ヒョウモンダコ
生息地:千葉~対馬より南の広域
黒潮の流れる地域に広く生息しているヒョウモンダコ。
小さくてカラフルでポップな柄がかわいらしいタコだが、持っている毒は非常に強力。
フグと同じ神経毒のテトロドトキシンと、さらにもう一種類ハパロトキシンという毒を持っている。
毒性はテトロドトキシンだけでも青酸カリの850倍。
フグなら肝を食べなければ問題ないが、こいつは唾液をかけられただけで毒を受ける。
噛まれた場合も痛みを感じないため、気付くことは非常に困難。
噛まれた箇所から口で毒を吸い出そうとするのは厳禁。一番危険な行為なので絶対にしてはいけない。
手で絞り出すか、ポイズンリムーバーで吸い出してほしい。
呼吸器系の神経が阻害されるため、素早く人工呼吸器を使えば救命率は高い。
人工呼吸を続ければ24時間ほどで無毒化排出される。
ハブクラゲ
生息地:沖縄・奄美
日本近海に住むクラゲの中でも特に危険な毒があり、浅い海にも入ってくる危険なクラゲ。
触手には毒を持った刺胞があり、何かが触れると毒針を発射する仕組みになっている。
強力な神経毒を持ち、刺されると激痛を感じてミミズ腫れになり、時間が経つと水疱に変わり最終的には壊死することもある。
重症の場合だと呼吸が困難になり死に至ることもある。
刺されたらすぐに陸に上がり、お酢をたっぷりと患部にかけてから触手を取り除く。
氷で冷やしながらすぐに病院へ向かおう。
カツオノエボシ
生息地:国内全域
別名「電気くらげ」と呼ばれるカツオノエボシ。
カツオノエボシは実はヒドロ虫の群体で、前述のハブクラゲとは生き物として大きく異なる。
そのためハブクラゲで有効な「お酢」による対処法が逆効果になるので要注意。
長い触手に触れると刺胞という微小な毒針が発射される。
刺胞に含まれるペプチドや多様な酵素によって痺れるような痛みと腫れが起こり、重症になると血圧の上昇や嘔吐などの症状が現れ呼吸困難に至る。
刺されるたびに症状は重くなりアナフィラキシーショックによる死亡例も発生している。
刺されるた場合は海水で洗い流して触手を除去したあと、患部を45度の熱めのお湯に浸すか、氷で冷やして病院へ。
重症で呼吸困難に陥っている場合は人工呼吸が必要になる。
オニダルマオコゼ
生息地:小笠原・奄美・沖縄
サンゴ礁のある浅い海に生息しているオニダルマオコゼ。
岩そっくりに擬態して海底でじっと獲物を待っていて、浮き袋がないため泳ぐこともほとんどない。
あまりに岩そっくりなため、熟練した漁師やダイバーでもすぐに見分けるのは困難と言われる。
背びれに太く鋭い毒針を持っていて、ビーチサンダル程度なら貫いてしまう。
毒針は踏みつけられると分厚い皮膚から露出して強力な神経毒が吹き出るようになっている。
毒は熱で分解されるため、こいつに刺された場合、針を抜いて毒を絞り出してから、45度の熱めのお湯に30~60分浸けると良い。
沖縄では背びれをバーナーで炙って無毒化してから刺身にして食べる。
ガンガゼ
生息地:房総半島・相模湾以南広域
日本の広域に生息するガンガゼは、海藻を食い荒らす上に毒があり、食べてもあまりおいしくない嫌われ者だ。
ウニよりも細く鋭いトゲを持っていて、トゲの先には毒がある。
刺されば激痛を感じ、皮膚の内部で折れてしまうためにいつまでもジクジクと痛む。
刺されたらピンセットで抜くのは困難で、周りの皮膚を切開して取り除いてしまった方がいい。
毒は熱で無毒化するので、45度ほどの暑いお湯に30~60分浸けるといい。
九州の一部地域では食べられている。味の薄いウニのような味らしい。
ラッパウニ
生息地:房総半島・相模湾以南広域
ガンガゼと違って短いトゲのあるウニ。ラッパ型に開いたトゲの内側に毒針がある。
触るとトゲがキュッと縮まり、刺すというより噛むという感じで毒を注入する。
毒性はあまり強くないが、人によってアレルギー反応が出て呼吸困難になることもある。
沖縄の一部には食べると酔っ払うとして食べる人もいるらしい。
ウツボ
生息地:本州・沖縄全域
磯や岩場に多く生息しているウツボは、雑食性で死んだ魚を好んで食べるスカベンジャーの習性を持っている。海の掃除をしてくれているという一面があるのだが、死体を食べるため歯の粘膜には雑菌を多く持っている。
噛み付かれると無数に生えた鋭い歯にズタズタにされ、雑菌が入り込んで化膿する。
さらにアゴの力が強力なので指を噛まれたら食いちぎられてもおかしくない。
万が一ウツボに噛まれたらすぐに消毒液をかけて病院へ。
ウナギ目なため冬のウツボはウナギに似た味で脂も乗ってて美味しいらしい。
しかしドクウツボは身体にシガテラ毒を貯めこんでいることがあり、非常に猛毒なことがあるため食べない方がいい。