殺人事件や自殺の起きた場所が心霊スポットとなることは多いもの。しかし、稀に逆のパターンもあるようだ。
秩父で起きた死体遺棄事件の現場は、事件の発覚前から「幽霊が出る」と噂されている場所だった。
「黒いセーターの女」が出没…死体が発見されて「やっぱり」
埼玉県秩父の地元消防団員が、貯水槽をたまたま開けたところ、異様な臭いに気付いた。中を見ていると、水に浮かぶ人間の死体があった。
この近辺では前年の昭和51年ごろから幽霊が出るという噂が広がっていた。
タクシー運転手が、深夜に通りかかったところ、道端にうずくまっている黒いセーターの女を見つけた。
深夜なこともありただごとじゃないと思った運転手は、車を停めて様子を見に行って声をかけた。すると女の顔が腐ったようにドロドロに溶けていた。
翌年の昭和52年になると、騒ぎは拡大し「自分も顔が溶けた女を見た」「黒いセーターの女を見た」という目撃が多発。発覚直前になると、「おばけが出る」とチョークでかかれた漬物石ぐらいの大きさの石が置かれるようになった。しかもこの石は誰も触っていないにも関わらず毎日場所を変えていたと言う。
さて、貯水槽から引き上げられた遺体は腐りきっており、顔ももちろんドロドロに溶けていた。服装は黒いセーターだった。
まさに幽霊として目撃されていた女性とピッタリ特徴が一致したのだ。地元住民は「やっぱり」という感想を抱いたと当時報道されている。
検死の結果、すぐに女性の身元が判明した。また、女性は妊娠6ヶ月であった。この貯水槽が最後に点検されたのは約1年前で、死体は点検後すぐに捨てられたものだと分かった。幽霊騒ぎが起こり始めた時期とも一致している。
殺人事件として捜査が開始されてから3日後に、被害女性と交際していた男性が逮捕されて事件は解決した。
しかしこの場所にはその後も幽霊の噂が絶えなかったそうだ。
現在は問題の貯水槽が取り壊され、それ以来幽霊の目撃はピッタリと止んだという。