中世ヨーロッパの人々は、まだ知らない世界の端の方には異形のモンスターが住んでいると考えていました。 中世の書籍や写本に出てくるモンスターは非キリスト教の人々を野蛮と決めつけるための象徴として利用されましたが、それが宣教師や船員たちを怖がらせ、未知の世界への冒険を思いとどまらせる原因となりました。
しかし、現代の我々が見るとどこかユーモラスで愛すべきやつらに見えます。ゆるキャラにも通じる愛すべきゆるさを持ったモンスターたちをご覧ください。
こちらはパノッティさん。この名前はギリシャ語で「全て耳」という意味です。寒い夜にはこの大きな耳を毛布のようにして眠るぞ。重度の恥ずかしがり屋で、知らない人が来ると巨大な耳を使って空を飛んで逃げていく。
ピグミーと呼ばれるこの種族は頭がなく、胸の部分に一つ目がある生き物です。原始的な武器を持っていますが友好的なようです。
こちらもピグミーさん。笑顔だったり何かをかじっていたり、コミカルに描かれています。ピグミーは温厚で無害であると考えられていました。
犬の頭に人間の胴体を持つこの生き物はcynocephali(狗人)という種族です。狗人は辺境世界の最大種族だと考えられており、鳴き声で離れた仲間と通信する能力を持っていると信じられていました。
この狗人がキリスト教に改宗して牧師になったという伝説もあり、中世ヨーロッパでは広く信じられていたようです。様々な古い文献に登場します。ユニコーンは中世の想像力のシンボルです。熟練した猟師でもこの大きな角を掴むことはできませんが、穢れのない乙女だけはユニコーンを飼い慣らすことができて、角を掴むことができたと考えられています。
女性になついているユニコーンがかわいいですね。
中世の海はモンスターでいっぱいでした。クジラは、その威圧的な大きさから死をもたらす恐ろしいモンスターと考えられていて、聖書にも登場します。背中で火を焚かれて迷惑そうな顔をしていますね。
セイレーンは美しい歌声で船乗りを惑わせ、遭難させると考えられていました。
このイラストは文明から離れた宗教家が悪魔のような生き物を使役する様子が描かれています。頑張れば強そうな見た目なのですが、かなり弱いようです。
中世の世界地図です。アジアを中心に上部がヨーロッパとなっています。モンスターたちがどの辺りに住んでいるかが記されています。
様々な辺境のモンスターが描かれた本は当時人気を博し、冒険に旅立つ宣教師や船乗りをおおいに怖がらせました。
でもこの表紙イラストもなんだか少しかわいい。
参照:dailymail